居酒屋でテイクアウト わびしい雰囲気でもウマい唐揚げ弁当(夕刊フジ)

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出典元:夕刊フジ

【するりベント酒】

 仕事で、都内のビジネスホテルに泊まった。夕方6時半、腹が減って、近所に出た。無論、一杯いきたい気持ちもある。

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 しかし、東京都内はもろ緊急事態宣言中だ。「アルコールのご提供はできません」と貼ってある飲食店も多い。

 だが、駅からちょっと離れた人通り少ない路地裏には、書いてはないけど、どうやら酒類を出している気配の店もある。

 通り沿いに「おでん」という赤提灯に灯りの灯った店があった。営業中だが、酒は出すとも出さないとも書いてない。ガラス越しに覗くと客は一人もいなかった。ここは飲ませるか飲ませないか。テイクアウトで、お弁当は出しているようだ。

 ここに入って、飲めたら飲む、飲めなかったら、生姜焼き弁当を買って、コンビニで酒買って、ホテルでベント酒だ。よし。

 そう思ってガラッと入る。年配の大将と女将。「いらっしゃい、カウンターの方へどうぞ」という。テーブル席もある。

 飲めるとも飲めないとも書いてない。が、

 「ビール」

 と、そのひと言が言えない。

 「持ち帰りはできますか」

 と言うと、女将が「はいできます」と言った。だが表の持ち帰りメニューが無い。

 「あの、持ち帰りメニューは」

 と言うと、冊子型のメニューが出された。めくると、それが書いてない。さらに飲み物のページも、外されているのか、無かった。壁には焼酎と日本酒の一升瓶が並んでいる。でも、どこにもその品名と値段がなかった。やっぱり出してないのか。そりゃそうだよな、酒類売るなと小池さんは言ってるんだもんな。だから客が誰もいないんだよな。そりゃそうだ。

 でも、おでんのいい匂いがする。目の前にあるのだ。ここで、熱いおでんと冷たいビールをコップ一杯飲めたら! と思いつつ、

 「チキン唐揚げ弁当ください」

 と、俺は思ってないことを言った。

 女将がお茶を出してくれた。啜ったが、うまくもなんともない。シーン。

 この、夕刻の居酒屋のカウンターで、おでんの匂いを嗅ぎながら、ただ弁当ができるのを待っている時間の、長かったこと長かったこと。その間、誰ひとり客は入ってこない。俺は、何をしているんだ。馬鹿か。

 「親父さん、待ってる間、ビール一杯飲ませてくれませんか」

 くらいの、大人としての洒落たことが、言えんのかね俺は! 意気地なし!

 できた温かい弁当を持って、コンビニに行き、缶ビールと「タコとブロッコリーのバジルサラダ」なんぞ買い、宿に戻る。

 写真をご覧ください。鏡に映った己のアホヅラを見ながらのベント酒でございます。弁当の周囲に、電話や「揉みほごし」の案内とかあって、なんだかわびしい。

 せめて缶ビールをコップに注いで飲もうとしたら、紺色のプラスチックグラスしかなくて、これがビールの色に似合わないことはなはだしい。まずそう。

 ところが。チキンもごはんも、予想外にウマかった! タルタルソースもいいぞ。キュウリのお新香まで実においしい。親父さん、女将さん、ごちそうさま。辛い時期でしょうが、どうかがんばってください!

 ■久住昌之(くすみ・まさゆき) 1958年7月15日、東京都生まれ。法政大学社会学部卒。81年、泉晴紀との“泉昌之”名でマンガ家デビュー。実弟の久住卓也とのユニット“Q.B.B.”の99年「中学生日記」で第45回文藝春秋漫画賞受賞。原作を手がけた「孤独のグルメ」(画・谷口ジロー)は松重豊主演で今年シーズン9(テレビ東京)。

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