出典元:夕刊フジ
【トラとら虎】
阪神・藤浪晋太郎投手(26)の1軍生き残りをかけた登板は、今週末の広島戦(甲子園)と予想される。「もし、今度も投球内容が悪いようだと2軍落ちは避けられない。本人も覚悟して臨むはず」と、球団OBはラストチャンスのマウンドに注目している。
【写真】呆然とした表情でマウンドを降りた阪神・藤浪
伏線はナインやファンを失望させた9月5日の巨人戦(甲子園)だ。期待を一身に背負いながら、5回途中無残なKO。11失点は球団史に残るワースト記録となった。即2軍落ちも考えられるなか、「もう1回は行かそうと思う」と矢野監督が決断し、猶予を与えたいきさつがある。
今季、1度は復活のきっかけをつかんだように見えた。8月21日のヤクルト戦(神宮)。打線の援護を受け、6回途中まで踏ん張って2年ぶりの白星。しかし、同29日の広島戦(マツダ)でまた制球難を露呈し、5回途中KO。ようやく芽生えはじめた自信は吹っ飛び、延長線上に巨人戦の大乱調がある。
いまも球速150キロ台を誇るものの、梅野がリードに困るほど球道は定まらない。打者が手も足も出ないすごい球のあと、別人のような抜け球。ひどいバラつきの原因は「いまだに投球フォームに迷いがあるから」と関係者の多くは指摘する。
「なかでも顕著なのは右打者に対したときで、極端に制球が悪くなる。ひょっとしたら死球になるのを恐れているのでは…。ナイーブな性格だから、もっと大胆にといっても無理だろうが、開き直ってど真ん中に投げるくらいの気概がないと活路は開けない」と先のOBは注文する。
思えば新型コロナウイルス感染に始まり、練習遅刻、伝統の一戦での醜態と、いまや身も心もズタズタのエース候補。近づく温情のマウンドは、投手生命を左右するほど重要なものになる。(スポーツライター・西本忠成)