周庭氏と黎智英氏の本当の逮捕容疑は 香港警察が注視する1.8億円(日経ビジネス)

出典元:日経ビジネス

香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いによる周庭氏や黎智英氏などの逮捕が「言論の自由」の弾圧などと国際的に大きく取り上げられた。また、国安法施行前の行動について法の遡及により逮捕しているとの批判もある。しかし指名手配・逮捕者の顔ぶれを見ると香港警察が問題視しているのは、むしろ現在進行中の反体制派による海外での資金集めのように見える。香港警察側のロジックを読み解く。

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 蘋果日報(アップルデイリー)の創刊者である黎智英(ジミー・ライ)氏と元香港衆志常務委員の周庭(アグネス・チョウ)氏の逮捕は世界的に大きな話題となった。特に黎智英氏の逮捕は「メディアへの弾圧」と欧米諸国から非難の声が上がっている。ただし、今回は蘋果日報とは直接関係のない黎智英氏の息子も逮捕され、反体制的な活動をしてきたその他の人々も逮捕もしくは指名手配されている。したがってメディアへの圧力をかけること「だけ」が目的だったとは言えない。

 今回の蘋果日報本社の家宅捜索においては、捜査令状が認めた捜査範囲に報道資料は含まれなかったと報じられている(それにもかかわらず捜査員が報道資料にも触れていたことが問題視されているのだが)。したがって、香港警察は蘋果日報というメディアの活動に対して令状を申請したわけではないと言える。一連の逮捕や指名手配から透けて見えるのは、香港警察は「反体制派が国安法に触れる目的を掲げて、海外で多額の資金集めをしていたこと」を問題視していることだ。

●誰が逮捕されたのか

 8月10日には黎智英氏や周庭氏とは別に9人が国安法違反もしくは詐欺罪に基づき逮捕された。この9人にはメディア関係者ではない人も含まれる。

 黎智英氏の家族では、長男の黎見恩(ティモシー・ライ)氏と香港で9つのレストランを経営する次男の黎耀恩(イアン・ライ)氏が逮捕された。2人とも蘋果日報とは直接関係を持たないが、次男は国安法違反、長男は詐欺罪の疑いで逮捕されている。2人ともこれまでさほど有名ではなかった人物で、今回もこの2人についての報道は多くはない。黎耀恩氏は日本食レストランも多く経営していたことから、親中派として知られる梁振英前行政長官は「ジミー・ライの逮捕が報道の自由を妨げると言うのは、香港政府が香港の人々が日本食を楽しむのを止めようと言うのと同じ」とフェイスブックに記し、黎智英氏の逮捕と報道の自由の議論を結びつけることを批判している。

 蘋果日報本社には200人の捜査員が香港警察から派遣された。蘋果日報とその関係者からは、黎智英氏以外に親会社壱伝媒(ネクスト・デジタル)のCEO(最高経営責任者)に当たる張劍虹氏が詐欺罪、COO(最高執行責任者)とCFO(最高財務責任者)に当たる周達権(ロイストン・チョウ)氏、さらに黄偉強行政総監が逮捕された。また、壱伝媒(ネクスト・デジタル)グループのアニメーション企業社長である呉達光氏も逮捕された。この4人の幹部はいずれも詐欺罪の疑いで逮捕されており、周達権氏はこれに加えて国安法違反の疑いも持たれている。現地メディアによれば香港警察は、黎智英氏を壱伝媒グループなどで支え現在は米国にいるマーク・サイモン氏も指名手配しており、同氏は香港に入境次第逮捕されることになるとみられる。

 その他、李宗澤(ウイルソン・リー)氏と民間団体「香港故事」の李宇軒氏も逮捕された。いずれも国安法違反の疑いで、李宇軒氏にはこれに加えてマネーロンダリングの疑いもかけられている。2人は、2019年11月の立法会選挙の際に国際独立選挙監察小組という英国上院議員などによる選挙監視団に関わったことが報じられている。2人は後述する「我要攬炒という反政府勢力から資金を受け取っていた」と、体制派寄りのテレビ局とされる無線新聞(TVB)は報道している。

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