出典元:産経新聞
【パリ=三井美奈、北京=西見由章】欧州連合(EU)は14日、中国とオンライン形式での首脳会談を行った。EU側からは議長国ドイツのメルケル首相、フォンデアライエン欧州委員長ら、中国側は習近平国家主席が出席した。
EUは、香港問題や巨大経済圏構想「一帯一路」による投資攻勢などで、対中警戒を強めている。だが環境問題や経済関係では「中国との協力は不可欠」との立場だ。米国の中国封じ込め策と一線を画しバランス外交を探る機会となった。
中国国営新華社通信によれば、習氏は会談で中国と欧州が「平和共存、開放的な協力、多国間主義、対話と協議」の4つを堅持しなければならないと訴えた。また中・欧双方は投資協定をめぐる協議の加速と、年内締結という目標の実現を確認した。
EU筋によるとEUは会談で人権問題を提起し、国家安全維持法が施行された香港も議題にする。さらに南シナ海情勢で、中国の海洋進出に懸念を表明する。
最大の課題は投資協定の行方だ。10日にデジタル問題のハイレベル対話が行われ、EUはデータ保護などで「透明でオープンな制度」を中国側に要求。中国が8日、米国の封じ込め策に対抗しデータ管理の世界基準作りを目指す姿勢を示したことへの懸念がある。
EUは今夏、欧州に投資攻勢をかける中国企業の規制案作りに着手した。第5世代(5G)移動通信システムで安全保障を理由に華為技術(ファーウェイ)製品の採用に、慎重姿勢を示す加盟国も増えている。