出典元:産経新聞
「党員すべてに投票権があってもらいたかった」
自民党総裁選で最下位に終わった石破茂元幹事長は14日、記者団にこう語り、全国一斉の党員投票が見送られたことに重ねて異議を唱えた。敗退は4度目。次回への意欲を問われると「終わったばかりで言えない」と述べるにとどめた。
石破氏の力の源泉は地方人気だったが、今回の地方票獲得は42票にとどまり、菅義偉官房長官の89票に遠く及ばなかった。課題だった国会議員票は26票で、目標の40票に届かなかった。仲間を増やす取り組みについて問われると「意思疎通に努めることだ」と答えたが、時すでに遅し。努力を怠ってきた代償は大きかった。
無派閥議員に影響力を持つ菅氏と二階派(志帥会、47人)を率いる二階俊博幹事長の協力を取り付けて頂点に立つ-。石破氏陣営は当初、来年9月の総裁選に照準を合わせ、このようなシナリオを描いていた。だが、安倍晋三首相の辞任表明直後に菅氏は二階氏に出馬を伝達して支持を取り付け、石破氏の計画は破綻した。
石破派(水月会、19人)は自前で総裁選を戦う基盤を持たない。今後は菅氏に協調姿勢を示しつつ、「菅内閣」の支持率が急落した場合に備え「受け皿」となることを狙う構えだ。
とはいえ、「反安倍」で注目された石破氏は、首相が表舞台から去れば存在感を失う可能性がある。岸田文雄政調会長にも後れをとったことで「賞味期限が切れた」(閣僚経験者)との評もあり、5度目の挑戦は簡単ではない。(奥原慎平)