大麻は本当にダメなのか? 日本人は「思考停止状態」から抜け出せるか(現代ビジネス)

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出典元:現代ビジネス

9月8日、伊勢谷友介さんが大麻所持の容疑で逮捕された。この事件はメディア各社でセンセーショナルに取り上げられた。

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 特に9月9日のワイドショーでは朝から各社がこの事件に長い時間を割いたが、どのメディアも似たり寄ったりで問題の本質に迫るような議論はなかった。

 それどころか薬物、特に大麻問題の対策を阻害するような番組が目立ち、地上波の劣化が露呈していた。報道の問題点をいくつか指摘したい。

 (1)街の声や近所への突撃

 「街の声」は毎度おなじみの光景だが、一般人が突然テレビカメラを向けられ芸能人の薬物問題へのコメントをと言われれば(しかも情報がまだ知られていない早い段階で)「びっくり~!」「そんな人に見えなかった」「意外です」という言葉が返ってくるはずだ。

 そもそも薬物問題について深く考えたこともない人たちのコメントにそれほどの意味があるだろうか? 
 そしてこの「そんな人に見えなかった」「意外だった」というコメントこそ、薬物問題のスティグマを強化している。過去の例を見てもわかるように薬物事犯は別に凶悪な人でも、ゾンビのような風体をしているわけでもない。

 昨今では小学生から官僚まで薬物事件を起こすくらい、普通の人々の間で蔓延しているのである。まして今回の事件は、合法化されている国すらある大麻である。

 街を歩いていて「あっ! 薬物を使っている人だ」とわかるはずがないのに、なぜか薬物事犯に対して特別な風体をしているはずと連想させるようなコメントを平気で垂れ流しているのがワイドショーや情報番組である。これでは薬物は普通の人から普通の人に近づいてくるという予防教育の基本中の基本を根底から覆してしまう。

 また、伊勢谷氏の近所の方への聞き込みを各社が行っていたが、伊勢谷氏はやがて自宅に戻り、人生の再起を図るのである。そのときに、自宅に居づらくなるような状況をメディアが作り出したのでは、再起を阻害することになる。こういったメディアの無神経さが薬物事件の再犯者の多さにつながっているように思う。

 (2)社会活動と薬物問題の対比

 伊勢谷氏はこれまで様々な社会問題に取り組み、社会活動家としても有名な存在であったが、この度の報道ではそれらの活動と大麻事件を取り上げ「意外な一面」「別の顔」といった対比が目立った。

 しかし人間誰しも様々な一面を持っているのが当たり前であり、薬物問題を起こしたからといって過去の活動や仕事まで否定されるものではない。それらの活動や仕事に誠心誠意情熱を傾けていたこともまた事実である。

 そして良き社会活動であるなら、代表者が大麻を所持していたからといって、潰してしまうようなことになればそれこそ社会の損失ではないか。伊勢谷氏の判決が出て、罪を償った後にはその社会活動が継続されるような報道を行うべきである。

 伊勢谷氏は既存のレールでは生きづらい若者に向けた高校を作られたということだが、伊勢谷氏が社会復帰された際には、今回の経験こそ学生たちに伝えていただきたいと思う。

 「ダメ、ゼッタイ」などという現在の予防教育など心に響かないが、まさに伊勢谷氏という経験者による生の声の予防教育こそ、学生たちに聞いてもらいたいものである。

 (3)大麻の所持量に関する煽り報道

 今回、伊勢谷氏が持っていたとされる大麻の量は20グラム、およそ40回分ということで、これを一部メディアが「大量所持」とやたら煽っていた。

 たしかに「息抜きにやってみたら? と勧められて、初めて使いました」という量ではないだろうが、常習性があったとしてもそれほど大量とは言えず、あくまでも自己使用分を所持していたにすぎない。

 これが大麻20キロを所持というのならもちろん驚きに値し、営利目的であったとなるが、ちょこちょこと売人に接触するリスクを考えればこのくらいのまとめ買いをしていてもお金のある芸能人ならおかしくない。

 ましてや伊勢谷氏自身が売人をやるはずなどあるわけないのに、それをワイドスクランブルでは元麻薬取締官の高濱良次氏が「営利目的の可能性もある」などと煽っていてあきれてしまった。どうあっても単なる自己使用者よりももっと極悪人に仕立て上げたいという番組の悪意を感じる発言である。

 その他にも、伊勢谷氏が自宅を紹介したYouTube映像を流し、ベランダの植物に水をあげているシーンで「このベランダで大麻を栽培していたということはないでしょうか?」と質問しているワイドショーもあり「外から丸見えのベランダでそんなことをするはずないだろう!」とあまりのばかばかしさにあきれてしまった。

 単なる所持だけではワイドショーは気が済まないのである。

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