重要法案・条約成立も…国会論戦本質語られず (産経新聞)

出典元:改正出入国管理法が可決成立した参院本会議=8日午前、国会(春名中撮影)

10日の会期末を前に第197臨時国会は7日、ヤマ場を迎えた。外国人労働者の受け入れ拡大に向け、在留資格を創設する出入国管理法改正案など政府提出の重要法案が成立。一方で、正念場を迎える日米通商交渉や、最大3年以内の日露平和条約締結を見据えた北方領土問題など国益に関わる重要課題の議論は低調に終わった。(清宮真一)

 政府は今国会に、来年5月の改元に合わせて10連休とする天皇即位日祝日法案や、来春の統一地方選期日を定める特例法案など13の法案を新たに提出した。これらに加え、継続審議となっていた改正水道法などが成立。条約は、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定や日EUの戦略的パートナーシップ協定など3案が承認の見通しだ。

 入管法改正案などをめぐり与野党が最終盤まで攻防を繰り広げる中、会期を延長せずに重要法案が次々と成立をみている。ただ、政府と野党がどこまで本質的な議論を交わしたかとなると疑問符が付く。

 サイバー攻撃に関する情報を官民で共有する協議会の新設を柱とする改正サイバーセキュリティ基本法は、2020年東京五輪・パラリンピック開催を控え、政府機関や重要インフラなど国家の基盤をサイバー攻撃から守る上で不可欠といえる。

 しかし、担当閣僚の桜田義孝五輪相は審議で「自分でパソコンを打つことはない」と公言し、適性が疑問視された。立憲民主党など野党もパソコン関連の初歩的質問に多くの時間を費やし、緊張感のある論戦はみられなかった。

 水産改革関連法案は約70年ぶりに漁業制度を抜本的に見直す重要法案だが、野党が堂故茂参院農林水産委員長(自民)の解任決議案を提出するなど政局に埋もれた感が否めない。

 政局とは一線を画すべきはずの憲法論議は今国会で一度も行われなかった。

 立憲民主党など主要野党は当初、国民投票法改正案の審議を主張していたが、入管法改正案の対立を理由に衆参憲法審査会の開催見送りに転じた。

 安倍晋三首相(自民党総裁)と野党党首による党首討論も会期中に一度も開かれなかった。

 自民党の小泉進次郎厚生労働部会長が事務局長を務める超党派議員連盟「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」(会長・浜田靖一元防衛相)は、2週間に1回開くことを柱とする提言をまとめた。野党側は国会改革を叫ぶ割には応じておらず、実現にはほど遠い状況だ。

 党首討論や衆参予算委員会は、法案審議にとどまらず、農産品などをめぐる対米通商交渉や、北方領土問題といった国益や主権に関わる重要課題を議論する貴重な機会だ。今国会でそうした本格論戦が深まらなかったという意味では、政府・与党と野党の双方が国民の期待に十分に応えていないと言わざるを得ない。

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