外国人“安宿”事情(上) 元倉庫、元ラブホ…人気の鍵は「インスタ映え」(産経新聞)

出典元:「IRORI」のロビーにあるいろり前でくつろぐフランス人宿泊客=東京都中央区日本橋横山町

「ここは家にいるみたいで落ち着く。気に入った」

 20日も滞在しているフランス人の男子大学生(22)は、純和風に設えられたいろりを前に、満面の笑みを浮かべた。大学生とあってお金はないというが、3週間にわたる日本旅行を満喫できたようだ。

【画像】あえてラブホテル時代の雰囲気を残したフロント

 男子大学生が宿泊していたのは、ゲストハウス「IRORI(いろり)」。問屋のまちとして江戸時代から栄えている中央区日本橋横山町の一角にある。使われなくなった問屋の倉庫を改装して3年前にオープンし、なるべくお金をかけずに旅行しようという外国人を中心に人気を集めている。

 ゲストハウスは安価な宿泊施設のこと。ドミトリーといわれる相部屋のところが多く宿泊代も安い。「でも、それって不潔なのでは」というイメージを持ちがちだが、そうではない。

 IRORIの構えはコンクリートの打ちっ放しで、入り口には大きなのれん。いろりが置かれたフロントロビーには江戸の古地図が掲げられており、画像共有サイト「インスタグラム」で人気が出そうな写真が撮れる(インスタ映えする)する外観になっている。

 「いろりで干物を焼く朝食がウリ。夜も食材をゲスト(宿泊客)が持ってきて、いろりで焼いている」とサブマネージャーの藤岡美波さん(24)は話す。メイン宿泊層の欧米の若者にウケているそうだ。

 政府観光局の統計では、昨年日本を訪れた外国人旅行者は前年比19・3%増の約2869万人。今年は上半期で1589万人に達し、年間3千万人を突破する勢いになっている。

 こうした好調な外国人旅行者増に合わせて、都内ではおしゃれなゲストハウスが増加し続け、「乱立といってもいい状態」という声もある。その多くはIRORIのように既存の建物を改装したものだ。

 台東区西浅草の「カオサンワールド浅草旅館&ホテル」もそんな“改装ゲストハウス”の一つ。平成25年の開業で、元々はラブホテルだった。

 ドミトリーと普通の旅館タイプの部屋があり、1泊の値段はオフシーズンでドミトリーで2300円からと格安。内装はラブホテル時代のものをそのまま使っている所が多い。例えば部屋が鏡張りだったりする。

 ここを運営する「万両」の人事・広報部長、松倉朋美さん(34)は「ラブホテルって外国にはないみたいで、こうした内装はウケている」と話す。

 人気のポイントは、やはりインスタ映えだという。「今はバックパッカーもみんなインスタをやっていて、インスタ映えするポイントを求めている。安いだけでは宿泊客は来てくれない」

 松倉さんによると、格安の宿にまでインスタ映えを求めるのは世界的な潮流で、宿は日々進化を求められているという。

 増え続ける外国人旅行者のうち、「少しでも安く旅行をしたい」と考える人ははどんな宿に泊まっているのか-。東京の“安宿”事情をのぞいてみる。(半田泰)

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