万博誘致、ライバル吹聴の台風で「復旧力」PR(産経新聞)

出典元:大阪市此花区にある会場予定地の人工島・夢洲(中央)。右手前は大阪府咲洲庁舎=3月8日、大阪市住之江区(本社ヘリから、志儀駒貴撮影)

開催地を決める選挙が23日に迫った2025年国際博覧会(万博)の誘致レースでは、各候補地の防災面での「安全性」も、投票のポイントになる。日本の会場予定地は大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)。9月の台風21号では、同じ大阪湾の海上空港・関西国際空港が高潮により水没。海外でも大きく報道され、ライバル国のネガティブキャンペーンに使われたという。これに対し、日本の誘致委員会は復旧までのスピードを強調。それを可能にした技術力の高さを猛アピールし、各国の不安感の払拭を図っている。

 ■広がる懸念

 「災害への対応は本当に大丈夫なのか」

 日本の誘致関係者は最近、各国の代表者からこう聞かれることが増えたと明かす。

 博覧会国際事務局(BIE)の本部があるパリで10月上旬に開催された万博誘致フォーラム。災害への懸念が広がっているのは、このときの出席者の反応からも分かったという。「災害多発」「空港水没」のキーワードを、ライバル国が吹聴している気配があった。

 9月4日に近畿地方を襲った台風21号。関空では海面からの高さ4~7メートルの護岸を高波が乗り越え、滑走路が大規模冠水した。さらに強風にあおられたタンカーが連絡橋に衝突。ショッキングな映像が海外に拡散した。

 ■予定地は無傷

 誘致レースの終盤戦に来て痛手となるマイナスイメージ。誘致委はこれを逆手にとり、リカバリー能力の高さを訴える戦術に出ている。「信じられないペースで復旧」「被災3日後には運航を再開」。外国人観光客向けに作られた1分半ほどの動画を積極的に活用、各国の担当者に見せて回った。

 被災映像が衝撃的であるほど、回復までのコントラストは鮮明になる。「わが国なら、復旧まで半年はかかる」と感心されることもあったという。

 「海面から11メートルもの高さを確保している。夢洲はとても安全な場所です」

 パリの万博誘致フォーラムに出席した吉村洋文・大阪市長は、夢洲の地盤の高さを示す資料を示しながら、安全性を強調した。

 同市などによると、夢洲を含む大阪湾臨海部の埋め立て地は、現在考えられる最大規模の災害での津波や高潮被害を見越し、それに耐えられるように地盤を整備している。高潮の規模が「140年に1度」と言われた過去最大級の台風21号でも、実は夢洲の被害はほぼゼロだった。地盤の液状化対策のほか、島へのアクセスルートとなるトンネルや橋の耐震化改良工事も進めており、6月の大阪北部地震でも影響はなかったという。

 吉村市長は「パリで関空の話をすると、すべての国の人が(台風被害について)知っていた。ただ復旧のスピードが速く、技術力がすごいという評価の方が大きい。いろんなところで自然災害はある。対応力が重視されている」と手応えを口にした。

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