本紙記者が茨城県警察学校に体験入校  (産経新聞)

茨城県警察学校(同県茨城町上石崎)で、若手記者を対象にした体験入校が行われた。今年4月に産経新聞に入社した記者(24)が、同じく1年目の警察官の日常に迫ろうと警察学校に飛び込んだ。想像を上回る過酷な1日になるとも知らずに-。

 午前8時半、警察学校に集合し、まずは施設内を見学した。男子寮の1室は、同世代の部屋とは思えないほど簡素で、歯ブラシなどの日用品と教科書、そしてプロテインが並ぶだけだった。見学後、「逮捕術」の授業へ。拳による突きや警棒の打撃で、相手をできるだけ傷つけずに制圧する「総合格闘術」だ。

 まずは防具を装着した。「重い」。早速顔がゆがむ。視界は狭く、呼吸もしにくい。不安を抱えたまま警棒と同じ大きさの竹刀を手に取り、訓練が始まった。

 1対1の実戦訓練。最初は、がむしゃらに竹刀を振り、肩や小手に打ち込んだが、後半は足が動かず、最後は竹刀を振り上げることすらできなかった。

 隣では初任科生の大きな声。自分の倍以上動いているはずだが、その動きは鋭いまま。間合いを見て、フェイントを入れるなど高度な戦いを繰り広げていた。

 逮捕術の後は楽しみにしていた昼食の時間。だが、激しく動いたせいか食欲がわかない。生まれて初めての経験に驚いた。初任科生は1日の食事で少なくとも3千キロカロリーを摂取するという。一度現場に出てしまえばいつ食事ができるか分からない。つらくても、食べられるときに素早く食べることは重要だという。

 午後は「鑑識」と「警備訓練」。鑑識では、ふわふわの毛玉に「SPブラック粉末」という専用の細かい粉をつけ、空き缶から指紋を採取した。粉をつけすぎるとうまく採取できず緻密さが求められた。屋外では、逃げた犯人の足跡を石膏(せっこう)で固めて記録する鑑識体験も行われた。

 「実際の現場では被害者もいる。作業に没頭しすぎて周りが見えなくなってはいけない」

 教官の言葉に訓練よりも厳しい現場が頭に浮かんだ。

 警備訓練では、重さ約8キロのジュラルミン製の盾を頭上に掲げて構えたり、持ちながら走ったりした。

 盾を持ち2キロほど走り終えた午後4時過ぎ、長い1日が終わった。本来は1時間は走り続けると後から聞いて背筋が凍った。

 訓練終了後、初任科生の安愛梨(あいり)巡査(18)と、対馬佳祐巡査(19)から話を聞いた。

 安巡査は「訓練は厳しいが、小学生の頃から憧れた仕事。全ての基本となる訓練を忘れず、憧れた警察官になる」と強い意志を見せ、対馬巡査は「体力と筋力がついた。今では実戦稽古も『どんどん来い』という強い気持ちで臨んでいる」と訓練の成果を誇らしげに語った。

 短い体験入校だったが、厳しい訓練をこなしていく初任科生の姿を見て、同じ1年目の新人として身が引き締まる思いがした。(水戸支局 永井大輔)

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