逆風のゴーン被告捜査 検察は意義語れ(産経新聞)

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(64)をめぐる事件で、東京地検特捜部は予期せぬ逆風の中での捜査を余儀なくされた。

 特捜部は自身の役員報酬を有価証券報告書に過少に記載したことを罪に問う前例のない切り口で逮捕に踏み切った。これに対し国内からは実害のない「形式犯」との冷めた見方や、海外メディアからは「長期勾留」との日本の刑事司法に対する批判が噴出した。

 極め付きはこうした国内外の世論に押される形で、裁判所がゴーン被告らの勾留延長請求を認めず、事実上、早期の保釈を促したことだった。これは裁判所が特捜部の捜査を否定したに等しかった。

 だが捜査の狙いは明確だった。「報酬隠し」は、株式市場の透明性向上が世界の潮流となる中、そのために法制化した役員報酬の開示ルールをいきなり破ったことを悪質だと捉えた。金額も90億円超と巨額だ。

 経営トップの報酬が業績と見合ったものかは、株主や投資家にとって企業のガバナンスが機能しているかの指標となる。日産自動車では、まさにゴーン被告への権力集中によりガバナンスが崩壊し、数々の会社私物化の疑惑が浮上した。そこに特捜部は切り込んだ。

 特捜部は公判前の「訴訟に関する書類」の公開を禁じる刑事訴訟法47条を根拠に、事件の詳細な説明は公判で明らかにするとの姿勢を貫く。だが、捜査に対する幅広い支持を得るためにも、検察は事件の意義を可能な限り語るべきではないだろうか。(市岡豊大)

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