「正解率は94%」AIで膵臓がんの画像診断 久留米大など(産経新聞)

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出典元:産経新聞

久留米大学(福岡県久留米市)医学部を中心にした研究グループが、全国の医療機関の病理医やベンチャー企業「メドメイン」(福岡市)と共同で、診断が難しいとされる膵(すい)臓がんを判定する人工知能(AI)の開発に成功したと発表した。AIによる画像診断は胃がんや大腸がんで開発が進められているが、膵臓がんでは珍しいという。

17の医療機関参加

同大の研究グループは、医学部病理学講座の矢野博久教授や、同大病院病理部の秋葉純教授、内藤嘉紀准教授ら。これに九州大学、自治医科大学、東北大学など全国17の医療機関の病理医が参加した。

同講座によると、膵臓は胃の裏側にある臓器で、他の臓器や血管に囲まれているため、がんがあっても見つかりにくく、診断のための組織採取も難しかった。

しかし、10年ほど前から超音波内視鏡を使って胃の中から膵臓に針を刺し込み、組織を採取して病理検査を行う穿刺(せんし)吸引生体検査という方法が普及してきた。これにより、膵臓の組織が直接採取できるようになったが、採取量が少なく、病理診断は難しいとされてきた。

このため、同グループは令和元年、AIによる病理画像診断支援を目指す九州大学発のベンチャー企業メドメインと共同で、AIを使った膵臓がん生体検査の画像識別モデルを作成することになった。

久留米大学が超音波内視鏡を使って採取した412点の膵臓がん(膵腺がん)標本を提供。これらの標本をデジタル化した。このデジタル画像を、全国の18人の病理医に見せ、がん細胞と判定した箇所をマークしてもらった。マークは2~3万カ所に上った。

こうして作成した「教師データ」をAIにディープラーニング(深層学習)させた。学習の成果を検証するため、3人の病理専門医がチェックした120点のデジタル画像を使ってAIをテスト。結果は病理医の診断と一致した「正解」が94%だった。同グループは「生検で得られる組織は小さいため、当初は低い精度を予想していたが、胃がんや大腸がんの画像診断と見劣りしない高い精度を得ることができた」と話している。

実用化できる精度

内藤准教授は「100%とならなかったのは、穿刺による組織採取のため、胃の組織が混じることなど、判断に迷う組織があるためだ。今回開発したAIのシステムで小さながん細胞も発見することが可能になった」という。同グループは「AIによる画像診断は実用化が可能な精度になっている」としている。

現在、AIを使った病理診断については日本病理学会が議論しており、久留米大も同学会の方針を踏まえ、病理診断にAIを活用することを検討する方針。

今回の2年間にわたる研究成果は英国の科学誌「サイエンティフィック・レポーツ」オンライン版に4月14日掲載された。

矢野教授は「膵臓は体の深いところにあり、がん手術となっても体のダメージが大きい。それだけに正確な診断が大切だ。今回開発したAIが実用化されると、小規模の病院でも活用でき、病理診断が難しい膵臓がん診断の精度が上がっていくと期待される」と語っている。(永尾和夫)

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