出典元:産経新聞
吉川愛(21)が、米ディズニーの新作アニメ「ラーヤと龍の王国」の日本語吹き替え版で、主人公、ラーヤの声を演じた。声優は、これが初挑戦。「お互いを信じることの大切さを教えてくれる作品」と語る吉川に話を聞いた。(石井健)
ラーヤは、「龍の石」を守る一族の少女だ。魔物の脅威にさらされた世界を救うため、持ち去られた石の破片を探している。旅の途中、ラーヤは魔力を持つとされる伝説の龍と出会う。
この力強いヒロインを生み出したのは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで「ベイマックス」などを手がけた監督、ドン・ホールら。剣を差し、砂ぼこりを上げて荒野を進むラーヤの姿は、スタジオジブリ作品や「スター・ウォーズ」シリーズを思い出させる。
テレビ作品まで含め、「ほぼ全部見ている」と豪語するディズニーファンの吉川。声優のオーディションを受けただけで満足した。合格と聞いても信じられなかった。ラーヤを表現するため「声を低くすること」を意識したという。「ラーヤは信用した相手に裏切られ、他人を信じられなくなった。低い声のほうが、芯の強さを出せる」
旅の途中、ラーヤの仲間は増えていく。少年の船長、赤ん坊の盗賊…と強烈な個性の持ち主ばかりなのが、ディズニーならではの楽しさだ。世界とこの仲間を救うため、ラーヤが最後に下す決断は胸を打つ。
「自分が信じることで相手も信じてくれる。信じる心を教えてくれる作品です」。コロナ禍で人と人の心の距離まで離れてしまいそうな時代。「だからこそ必要な作品」とも。
「そして、間違いなく私の一生の宝物になりました」
放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」で、主人公が働くカフェーの同僚、真理を演じた。7月にはヒロインを務める映画「ハニーレモンソーダ」が公開予定だ。
「今年は“自分磨き”に頑張ろうと思っているのですが、ラーヤの声を演じて、外見だけでなく内面も変えていかないとだめだと気づかされました。ラーヤのように一歩踏み出し、一段階上の女性になれたら」
〈よしかわ・あい〉 平成11年10月生まれ、東京都出身。子役として早くから「メイちゃんの執事」「あまちゃん」などのドラマやCMで活躍。映画は「さくらん」「虹色デイズ」「十二人の死にたい子どもたち」「転がるビー玉」「のぼる小寺さん」など。
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「ラーヤと龍の王国」は、5日から東京・ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場、大阪・あべのアポロシネマなどで全国公開。動画配信サービス、ディズニープラスでも有料配信。1時間47分。映画館では短編「あの頃をもう一度」を同時上映。