森田しのぶ医労連委員長「医療従事者はもう限界です」(日刊ゲンダイDIGITAL)

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出典元:日刊ゲンダイDIGITAL

【注目の人 直撃インタビュー】

 森田しのぶさん(日本医療労働組合連合会委員長)

 新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るっている。春、夏を上回るスケールで、医療提供体制は危機的な状況だ。春からの長丁場に、医療従事者の奮闘は続くが、病院経営が悪化する中、政府の支援は行き渡らず、待遇は改善されていない。医療現場の最前線の現状について聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 ――コロナ第3波が深刻な事態になってきました。医療従事者の負担は相当のものだと思います。

 緊急事態宣言の発令もあって、春の第1波は落ち着いてきました。秋の第2波を想定していましたので、夏は設備、人員体制など次に向けた準備期間と考えていました。ところが、スタッフは心身ともに休む間もなく、夏に第2波が来て、途切れることなく、規模の大きな第3波に見舞われています。

 ――緊張状態は春からずっと続いているのですね。

 春の段階ではきちんとしたすみ分けもなく、病院はコロナの患者をどんどん受け入れざるを得ませんでした。医療用マスクやガウンなどが不足し、感染症に不慣れなスタッフも少なくなく、手探りだった。また、誹謗中傷、差別も多かった。その中で医療スタッフは耐えて働いてきました。

 ――病院の経営は苦しくなりました。

 コロナ患者を受け入れて負担が増える一方、他の患者が減り、大幅に減収になった。コロナ患者を受け入れていない医療機関にも受診控えが広がりました。手術や検査は先延ばしされ、健康診断は軒並み延期されました。

 ――医療機関の経営悪化により、最前線で奮闘しているスタッフにしわ寄せが及んだ。医労連加盟組合の医療機関の3割超で夏の一時金が前年より減る結果になりましたが、冬の一時金はどうでしたか。

 昨冬の一時金は前年に比べてマイナスだった医療機関が約2割でした。今年は全体で約4割超、コロナ患者を受け入れている機関は7割近くが前年比マイナスです。昨年より、また今夏よりマイナス回答の割合は増えたのです。待遇は改善どころか悪化しています。

■医療スタッフには「Go To」は全く無縁

 ――政府は「Go To キャンペーン」に多額の税金を投じています。

 経済を回さなければならないのは分かるのですが、感染を抑えてからすることだと思います。

 ――医療スタッフには「Go To」はどう映っているのでしょう。

 全く無縁です。家と病院の往復や最低限、生活に必要な外出をするだけですから。医療スタッフには移動制限、会食制限などがあり、院外での集まりにも上司の許可が必要。感染を警戒して、家族と離れてホテルから通勤する職員もいます。

 ――政府は医療関係者への感謝は盛んに口にしますが、中身が伴っていない。

 医療従事者らに感謝や敬意を示すため、航空自衛隊のブルーインパルスの飛行がありました。どれくらいの費用を使って飛ばしたのか分かりませんが、感謝していただくのはありがたいですが、医労連で行ったアンケートには「それよりも、きちんと自分たちのところに、必要な手だてをしてほしい」との記載がありました。

 ――政府は補正予算で医療機関を支援しているのではないですか。

 コロナ対策として国が設けた総額約3兆円の「緊急包括支援交付金(医療分)」があるのですが、医療機関に届いた額は10月末の時点で、全体の2割程度の約5200億円にとどまっています。医療機関の手持ちの資金がないので、職員のボーナスを減らさざるを得なかったケースもあると推測しています。交付金が遅れたことでボーナスが減額になったのであれば、後からでも何らかの手だてが必要です。そもそも、国の支援は遅れているとしか言えません。

 ――過酷な労働な上、待遇も改善されない。離職者が相次いでもおかしくありません。

 医労連の加盟組織では、今のところ離職は顕著には見られていません。医師も検査技師も看護師もみな、プロ意識を持っています。「ここに必要な治療や検査がある。看護がある」となると、放っておけないのです。

■完全防護は2時間でキツい、6時間でヘトヘト

 ――日本特有の働き方も過重労働の要因のようですね。

 欧州では、交代制勤務で時間が来たら、仕事が残っていようがいまいが、次の人が引き継いで仕事をするんです。チームとして仕事をしている。日本の場合は、患者の状態は引き継ぎますが、自分がやっている仕事が終わるまで残業するので、無理して働くと、結局、ベストの状態で働けなくなってしまう。

 ――かなり無理しているのですね。

 コロナ対応のスタッフの中には、休息のために防護服をいったん脱ぐと、着脱に時間が結構かかるので、できるだけ休息をしないように水分を控え、トイレに行くのを我慢する方もいます。完全防護は2時間でもキツい、6時間でヘトヘト。使命感と責任感で何とか奮闘していますが、もう限界だと思います。

 ――第3波では病院や高齢者施設でクラスターが多発しています。

 エッセンシャルワーカーの重要性は春から指摘されています。病院や高齢者施設などで、予防的に陽性者を見つける定期的な検査を私たちも一貫して訴えてきました。世田谷区を皮切りに、神戸市や江戸川区など一部自治体で行われているようですが、全国的には行われていません。定期検査をしていれば、防げたクラスターもあるのではないでしょうか。

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