厳しい重症者の増加 病床、人材確保追いつかず(産経新聞)

出典元:産経新聞

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い重症者の数が急増している。日本医師会の中川俊男会長は25日の記者会見で「全国各地で医療提供体制が崩壊の危機に直面している」と懸念を表明。国が公表している各地の病床使用率は、準備が必要ですぐには使えない病床も含めて計算されており、地域によっては「現実は満床状態だ」とも指摘した。各地で病床の確保・拡充が進められているが、対応に当たる医師や看護師らも同時に確保する必要があり、関係者からは「これ以上増えれば対応しきれない」との声も上がる。

【イラスト】感染リスクが高まる「5つの場面」

 「(第1波の)4、5月の状況から想定すると、重症者数が50人を超えると医療機関の体制の逼迫(ひっぱく)が懸念される」。東京都の幹部は強い危機感を示す。

 都内の25日の新型コロナの重症者数は前日から3人増の54人となり、緊急事態宣言の解除後で最多の水準が続いている。都は現在、重症病床を150床確保しているが、300床を視野に増やす方針で医療機関に協力を求めている。

 ただ、重症病床は中等症などへの対応に比べ2倍以上のスタッフが必要になる上、人工呼吸器などの機器も準備しなければならない。都の担当者によると、既にマンパワーが限界に近い医療機関もあり、予定していた手術の延期や救急の受け入れ制限に踏み切るケースも出ているという。

 感染状況や医療提供体制を分析する都のモニタリング会議では専門家から「感染者の増加から1~2週間後に重症者が増加する傾向にある」との懸念が示されている。担当者は「通常医療への影響を最小限にしつつ、重症患者を滞りなく受け入れる体制を病院と連携して作りたい」と話した。

 札幌市を中心に感染者が増加している北海道では、重症者数が8~15日の1週間で11人から18人と1・6倍に急増。24日時点でも19人となっている。

 道では重症病床を128床確保しており、使用率は24日時点で14・8%。国の基準で「ステージ3(感染急増)」へ移行すれば、現在の128床から182床まで増やす計画という。ただ、「実際のところ、人材が潤沢に余っている医療機関はない」と道の担当者。「重症者となると、さらに専門性が必要で簡単ではない」と苦悩をにじませる。

 24日に時短営業要請などの対策を決めた大阪府の事態は、より深刻だ。

 府内の重症病床の確保数は206床とされ、使用率は24日に初めて50%に達した。ただ、206床の中には新型コロナ以外の重篤患者用のものも含まれており、実際に新型コロナ用に運用できる病床は130床。これに基づく使用率だと、79・2%に上る。

 府の試算によると、新規感染者が23日までの7日間平均348人を基準に前週比1・5倍のペースで増え続けた場合、12月2日には重症病床の最大確保数に対する使用率が70%を超え、自粛要請の基準「大阪モデル」で非常事態(赤信号)に移行。同9日には206床を上回るとされる。

 府病院協会の佐々木洋会長は「数字の上でベッドを確保しても、医師や看護師らの人手が追い付いていない。このまま感染者が増え続ければ医療崩壊の可能性も否定できない」と危機感をあらわにする。

 こうした状況について、重症患者の治療に使う人工心肺装置「ECMO(エクモ)」などの普及を支援する「日本COVID-19対策ECMOnet」の竹田晋浩(しんひろ)代表は「エクモや人工呼吸器を使った治療法の救命率は世界的に見ても高いが、人材が足りなくなり経験の低い人が入ることになれば、治療レベルが下がりかねない。感染者の総数を抑え、重症者を減らしていく必要がある」と訴えた。

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