出典元:現代ビジネス
夏の日の仕事終わりに、ビアガーデンでビールを飲んだとします。1杯目のビールはとても美味しい! お酒の好きな人なら、誰でもそう感じます。
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では、これが2杯目になるとどうでしょうか? 1杯目の時のような満足感は少し減っていませんか? さらに3杯目となると、ビールはもういいから、違うものを頼もうかな……というように思い始めます。
これが「限界効用逓減(ていげん)の法則」という重要な法則なのです。ようするに、人が何かを消費する際の1単位当たりの満足度というものは、同じものの消費が続くとだんだんと低下してしまうということを表しています。
次に、ビールをくじの賞金に置き換えてみましょう。
ある人が1回目にそのくじを引いたときに100円の賞金を得ました。2回目も100円の賞金を得ました。増えたお金は、当然、100+100=200円です。3回も100円を得て300円になりました。
ここで、この人がこの賞金xから得る満足度yについても限界効用逓減の法則に従うとしたらどうでしょうか? このとき、この法則を簡単なy=√x という関数で表せたとします。
すると、1回目の満足度は √100=10 という値に、2回目は √200≒14.14、3回目は √300≒17.32となります。
1回目では10得られた満足度が、2回目では14.14-10=4.14に、3回目では17.32-14.14=3.18とだんだんと減少しています。
このように、この関数は、この図にあるように限界効用逓減の法則を表しています。
さて、ある状況で人が得る満足度のことを意思決定理論では「効用」といいます。さらにその「効用」を表す関数を「効用関数」といいます。先ほどのくじの例では y=√x が、この人の「効用関数」ということになります。
それで、実際の「選択」を決定するさいには、いくつかの報酬や賞金のうちどれかが確率的に得られることがありますので、こうした報酬や賞金に対する「効用」の「期待値」(これを「期待効用」とよびます)を最大にする選択をすることこそが「最善の選択」になるという考え方が、意思決定理論で基礎となる「期待効用理論」と呼ばれる考え方になります。