ノーベル経済学賞でわかった、「ヤフオク!」を100%使いこなす方法(現代ビジネス)

出典元:現代ビジネス

2020年のノーベル経済学賞は「オークション理論の発展への貢献」として、スタンフォード大学のポール・ミルグロム氏とロバート・ウィルソン氏の2人が受賞した。オークション理論はゲーム理論を基礎に、この50年で発展した理論である。今世紀に入りミルグロム氏がアメリカの携帯電話の周波数オークションの設計に関与して大成功をおさめたことから「現実に適用できる理論」として、ますます注目を集めている。

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 研究が始まった50年前は、オークションが行われる商品や場所は市場や絵画など限られていたが、インターネット・オークションの発達によって、この状況は激変した。交渉が中心だった中古車、税金の滞納で差し押さえられた財産、マンションや家、ホテルや飛行機の予約、物流業者の輸送の請負まで、今日ではさまざまな商品がオークションで売られている。

 本稿ではオークション理論の概要について説明するとともに、ネットオークションの「ヤフオク!」を例に初歩的な理論を分かりやすく解説する。

 オークション理論は、いくつかの理論で構成されている。ここではオークションで売られる財に着目して3つに分けてみよう。

 (1)単一財の理論。1つの財を売るオークションの理論。絵画、中古車、魚市場・青果市場の競りなど、私達がイメージするオークションは単一財のオークションである。

 (2)複数財の理論。ワイン・木材・国債やIPO(新規上場)時の株式など同じものを多数売る「同質財」の理論と、周波数や物流の配送路など異なる財を組み合せて売る「異質財」の理論の2つがある。

 周波数の利用権は、使用が許可される地域や帯域など、1つ1つの財が異なる性質を持っていて、組合せ効果(シナジー効果)がある。「この周波数とこの周波数を2つまとめてなら高く買うが、バラバラならいらない」という参加者のさまざまな需要に対して、オークションをどう設計するか、という問題が生じる。

 ミルグロム氏は「同時競り上げ式オークション」と呼ばれる方法を周波数オークションに提案し、大成功をおさめた。

 (3)ダブルオークションの理論。ここまでは売り手が1人・買い手が多数と考えていたが、売り手も買い手も多数いる場合は「ダブルオークション」と呼ばれる。株式市場(ザラ場)の売買が典型的な例だ。これはそもそもアダム・スミス以来の「市場理論」の範疇と考えることができ、オークション理論の検討対象に加えないこともある。

 オークション理論はゲーム理論を基礎としている。ノーベル賞を取るだけに(? )、その難易度はかなり高い。確率論(中でも順序統計量という知識が必要)、不完備情報ゲーム理論、微分方程式、組合せ数学などの知識が必要となる。ここでは難しい数学は一切使わず、ネットオークションの中で日本でもっとも有名な「ヤフオク!」を例に、オークション理論の基本を分かりやすくお話ししよう。

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