出典元:産経新聞
神奈川県座間市のアパートで平成29年10月、15~26歳の男女9人の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人や強盗強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(29)は、ツイッターに「首吊(つ)り士」というアカウント名などで自殺に関する投稿を繰り返し、「一緒に死のう」といった呼びかけに応じた多くの若者の命を奪ったとされる。政府は事件を受け再発防止の対策を進めるが、会員制交流サイト(SNS)では今も同様の投稿が多く見受けられる。
【写真】強盗殺人などの罪に問われた白石隆浩被告
「首吊りの知識を広めたい 本当につらい方の力になりたい」「つらさに直面している時にすぐ死ぬべき」。首吊り士のアカウントでは自殺を後押しするような発信が繰り返され、「お気軽にDM(ダイレクトメッセージ)へ連絡ください」とも記されていた。
DMは相手と非公開でやり取りができる機能で、白石被告はDMなどで被害者らと個別に接触を図っていたとみられる。実際に被害者の1人は、殺害される当日までに被告と100回以上のやり取りをしており、被害者以外に会う約束をしていた女性もいた。
わずか2カ月で9人を殺害し、遺体をクーラーボックスに入れて生活を続けていたという白石被告。逮捕後は「金品目的だった」「乱暴目的で襲った」などと供述する一方、「本当に死にたいと思っている人はいなかった。ただ話を聞いてほしいだけだと感じた」とも話していた。ただ、詳しい動機は不明のままで、被告が法廷で何を語るのか注目される。
政府は事件を機に有害な投稿の監視強化などに乗り出したが、SNSでは今も、自殺や家出を希望する若者を誘い出すような投稿があふれている。今年8月、SNSで誘い出した少女を自宅に監禁した疑いで埼玉県警に逮捕された40代の男は、座間の事件に「影響された」などと供述したという。今後も類似事件が起きる恐れがあり、関係機関は警戒を続けている。(加藤園子)