プジョーの新型「208」はBセグの新しいベンチマーク(日経ビジネス)

出典元:日経ビジネス

突然だが、読者の皆さんは「ステランティス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。もし「知っている」という方がいらしたら、それはかなりの自動車業界通だと思う。種を明かせばステランティス(STELLANTIS)は、2019年12月に合併を発表した仏グループPSAと、欧米FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の合併後の新しいグループ名だ。もちろん合併後も仏プジョーや仏シトロエン、伊フィアットや米クライスラーといったこれまでのブランド名は継続して使われる。新しいグループ名は、ラテン語の「星が輝く」を意味する「Stello」に由来する。英語の「Stella(星)」も、このStelloが語源だ。星から企業名を採っている点では、日本のスバルとも共通する。そういえば、スバルにもかつて「ステラ」というクルマがあった。

【写真】プジョーの新型「208」のリアシート。足元スペースに余裕はないが、身長170cmくらいの大人2人までなら座るのに問題はない

 すでにPSAの傘下には独オペルもあり、ステランティスの発足はフランス、ドイツ、イタリアという欧州の主要国と米国の自動車メーカーとを統合した巨大な企業グループの誕生を意味する。PSAとFCAの合併手続きが終了するのは2021年の第1四半期になると見られており、ステランティスが正式にスタートするのはその後になる。

 仏ルノーとの合併を検討していたPSAが、ルノーと日産自動車との複雑な関係に業を煮やしてFCAとの合併に切り替えたのはまだ記憶に新しい。それと同じころに日本政府が日産とホンダとの合併を画策していたという最近の英フィナンシャル・タイムズの報道にはびっくりしたが、両社とも即座にこの提案を拒否したと同報道は伝えている。

 そのホンダは、9月3日に米GMと戦略提携すると発表した。北米で両社が販売するガソリン車のエンジンやプラットフォームの共通化を検討するという。その目的は、既存事業のコストを削減し、捻出したリソースを電動化や自動運転といった将来技術の開発に振り向けることだ。両社は2021年初めからの共同作業開始を目指しているようだが、GMに限らず米国の完成車メーカーは、もはや通常の乗用車の開発に関心が薄れており、SUV(多目的スポーツ車)を含むトラックに経営資源を集中したいようだから、今回の提携はGMにとっても渡りに船だろう。

●CMPの本命登場

 余談が長くなってしまったが、今回取り上げるのはプジョーの新型車「208」である。英JATO Dynamicsの調査によれば、208はプジョーブランドで最も販売台数(欧州27カ国)の多い主力車種であり、また欧州のBセグメントでもルノー「クリオ」、独フォルクスワーゲン「ポロ」、米フォード「フィエスタ」に次ぐ4位を占める。さらに、新型208は2020年3月に米テスラの「モデル3」や独ポルシェの「タイカン」といった注目モデルを抑えて「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いており、欧州では非常に高い評価を得ている新車といえるだろう。その新型208の最大の話題は、プラットフォームから刷新し、PSAの新世代プラットフォーム「CMP」を採用したことだ。

 CMPはこのコラムの「DS3クロスバックは価格も乗り味も超Bセグ」(関連記事参照)で取り上げた「DS3クロスバック」や、日本には輸入されていないが独オペル「コルサ」など、グループPSA内の車種では採用されているのだが、それがいよいよグループPSAの主力車種に搭載されたということに意味がある。大げさにいえば、ついに「本命」が登場したということになる。

 そのCMPだが、筆者の興味は「本当に出来がいいのか?」ということだった。というのも先のコラムで取り上げたDS3クロスバックは、確かに乗り味はこれまでのBセグメントの枠を超える水準だったものの、試乗車の価格はオプション込みで約450万円と、2クラス上のDセグメント車が買える水準で、正直に言って「この価格なら良くて当たり前だよな」という感想が否めなかった。DSはグループPSA内のプレミアムブランドであるだけに、内装の素材や防音・防振などには通常の車種よりもおカネをかけている。

 これに対して新型208は、ベーシックモデルの価格が239万9000円からという、一般ユーザーでも手の届きやすい価格設定の「普通の」Bセグ車である。であるからこそ、CMPのすっぴんの実力がいかほどのものか、興味があったのだ。

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