出典元:夕刊フジ
米中対立がさらに過熱してきた。中国の習近平国家主席は、新型コロナウイルス対策での社会主義の優位性を強調し、世界的大流行(パンデミック)の責任を追及する米国に警告した。ドナルド・トランプ米大統領は、中国と経済面での「デカップリング(切り離し)」を示唆し、対中強硬姿勢を鮮明にした。「共産党独裁国家」と「自由・民主主義国」の分断はしばらく続きそうだ。
「国家制度が成功しているかどうかは、重大な危険や挑戦を前にして四方八方に号令を発し、共同で対応できるかだ」「(新型コロナ対策で)重大な戦略的成果が得られたことは、中国共産党の指導と、わが国の社会主義制度の顕著な優位性を示している」
習氏は8日、北京で開かれた新型コロナ対策表彰大会で重要演説を行い、一党独裁体制をこう正当化した。
中国発の新型コロナをめぐっては、トランプ氏が先月末、大統領選の共和党候補指名受諾演説で「(中国に)責任を取らせる」と明言。世界各国で中国に対する損害賠償請求の動きが始まっている。
習氏はこれを意識してか、「われわれは迅速に感染情報の公表メカニズムを確立し、透明性ある情報発表を行った」「責任を他人に転嫁し、是非善悪を逆さまにするやり方は世界各国の人民を傷つける」と牽制(けんせい)した。
一方、トランプ氏は7日の記者会見で、「中国への依存を終わらせる」「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」「中国とビジネスをしなければ巨額の損失を出すことはないだろう」といい、中国と経済面で「デカップリング」を進める方針を示した。
さらに、中国は、米国から得た利益で船やロケット、ミサイルなどを建造していると主張し、民主党候補者のジョー・バイデン前副大統領を「中国の手先だ」と批判した。
自由・民主主義国にも問題はあるが、中国共産党政権によるウイグルやチベット、香港での「強権政治」「人権侵害」は世界各国が批判している。特に人権問題については、米民主党も厳しく対応している。
日本の「次期首相」の対応も注目されそうだ。