私が見た、ファンタジスタ級の介護離職防止プレー(日経ビジネス)

出典元:日経ビジネス

「テレワーク」と「家族介護」。この相性はものすごく悪い。

 コロナ禍により、現在はテレビ電話で実施中の個別の介護相談を受けるたびに、改めて、こう実感しています。

【写真】テレワークのために、かえって仕事と介護の両立に困難を感じる人が増え、“介護離職を考える”社員が現れている(写真はイメージ)

 テレワーク、つまり自宅仕事は、在宅介護をするのにぴったりに思えますし、会社側も「仕事しながら、介護もできるのでは?」と、推奨しているかもしれません。

 しかし、それは大きな間違いです。

 テレワークで在宅勤務になり、要介護者にとっては、声を掛ければすぐに対応してくれる距離に家族がいる状況が生まれます。となるとどうしても、それまでは自分でできていたことまで、家族に頼ってしまうことになります。

 その結果、要介護者が自分でできることがどんどん減っていき、家族の負担が増えます。さらに、声を掛けられるたびにテレワーク中の家族は仕事の手が止まるため、仕事の質も低下するでしょう。会社でだって、しょっちゅう中断されたら仕事ははかどらないですよね。「今忙しい」と言いにくい家族相手ならば、なおさらです。

 テレワークのために、かえって仕事と介護の両立に困難を感じる人が増え、すでに“介護離職を考える”社員がどんどん現れている肌感覚があります。

●「この人は介護離職を考えている」と思ったら

 そんなときはどうするか。今回は、「この人は介護離職を考えている」と感じた人に、私が最初に行う“対応メソッド”をご紹介します。

 この“対応メソッド”は、介護経験や介護の知識の有無に関係なく誰にでもできることです。もし、“介護離職を考えている”同僚、部下から相談を受けた際には、ぜひ、試していただければと思います。

 最初にお願いするのは、これです。

1:今の状況を口頭で説明してもらう

 もしあなたが人事・総務の方で、私のように相談を受ける立場ならば「会社(私)としてもできる限りのことをしたいので、今の状況を思いつくまま、だーっと説明してみてください」と伝えるのです。同僚や友人の場合ならば「大変そうだね、心配だから、よかったら今の状況を聞かせてくれない?」で十分です。

 細かい話ですが、とくに男性の場合には、「今の状況を説明」という、客観性を持たせた言い方がいいようです。事情、様子、具合など、「個人的な話をする」ような言葉が出ると、口が重くなる傾向があります。

 要介護の親に頼み事をされる回数や頻度、毎日何時間くらい寝ているのか、など、数字を切り口にするのも有効です。

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