出典元:夕刊フジ
【江尻良文の快説・怪説】
巨人・原辰徳監督(62)が「V9」川上哲治監督の球団最多勝利1066勝に並び、次なる大目標として新たにV9挑戦を明言。だが親会社の読売新聞グループ本社・渡辺恒雄代表取締役主筆(94)は、密かに「V6」という現実的な目標を設定している。
表向きは「V9超えのV10」の大号令を何度も発してきたが、実はこう本音を吐露している。
「V9というのはドラフトがなかった時代だからできたんだ。選手のほとんどがプロ入りといえば巨人を希望。巨人は獲りたい選手を好きなように獲れた。今は時代が違う。ドラフトがあるから、そうはいかないよ。V9はとても無理だ」
事実、原監督は1位で競合した有望株をくじ引きで逃し続けている。渡辺氏は「ただ、ドラフトのある今の時代でも、V9は無理でもV6くらいはできるだろう」と現実路線だが、一方で球界の新盟主を狙うソフトバンク・孫正義オーナーはあくまで「V9巨人超えのV10」にこだわる。
昨季は巨人を日本シリーズで4戦4勝と一蹴。今季はV9巨人以来の4年連続日本一がかかるが、孫オーナーはシビアだ。「この2年間はリーグ優勝できずに2位からの日本一。今季こそ3年ぶりにリーグ優勝して日本一達成を!」と工藤監督に厳命。クライマックスシリーズ(CS)に救われての日本一に不満を露わにしている。確かに巨人のV9は、敗者復活戦のCSがなかった時代の偉業だ。
それでも昭和の盟主が巨人なら、平成の盟主は文句なしでソフトバンクだろう。ダイエー時代を含め日本一7回は、巨人の6回を上回る最多記録だ。巨人の主砲としてV9に貢献した、ソフトバンク・王貞治球団会長(80)は「ドラフトがある時代の7回の日本一は価値がある。ある意味で巨人のV9超えに匹敵すると思う」と明言。そして令和の最初の日本一チームにもなった。
王球団会長が「ウチもリーグ優勝して日本シリーズで巨人と再戦したい」と希望するとおり、V9巨人以来の4年連続日本一を懸けた新旧の盟主対決が実現するか。逆に原監督は盟主交代に待ったをかけ、8年ぶりに日本一を奪回することが“川上超え”シーズンのノルマとなる。(江尻良文)