出典元:夕刊フジ
サッカー日本代表が計画している欧州遠征は、綱渡りになりそうだ。
新型コロナウイルスの影響をモロに受ける形で、予定されていた公式戦を含めた日本代表の全試合は無期延期。そんな状況に森保一監督(52)は8日、「ぜひ、試合をお願いしたいと(反町)技術委員長に伝えています」とリクエストしていることを明かした。
日本サッカー協会は代表戦の入場料収入、テレビ放映権などで年間30億円近い収入があるが、このままではそれも計算できない。そこで苦肉の策として浮上したのが欧州遠征だ。
年内は10月5日~13日と11月9日~17日に計18日の国際Aマッチデーの期間がある。すでに試合会場はオランダを第一候補としてリストアップしている。
実現すれば海外組オンリーのチーム編成となる。FW南野拓実(25)=リバプール=や、MF久保建英(19)=ビリャレアル=の招集は可能。またDF長友佑都(34)=マルセイユ=や、代表引退を公言している元主将・長谷部誠(36)=フランクフルト=ら海外組ベテラン勢にも「まずは彼ら自身が代表でプレーする思いがあるかだ」と言いながらも森保監督は期待する。
欧州遠征なら招集の可能性は膨らみ、試合出場は無理でも、代表戦に顔を出してもらい、若手へアドバイスしてもらうことはできる。
もちろんハードルは高い。国際Aマッチデーの期間に、欧州ではA代表による国際大会、ネーションズリーグが行われている。日本代表が「試合をお願いしたい」と出掛けていっても、すんなりOKはもらえない。欧州強豪国と試合ができる可能性は低い。
日本協会では地上波でのテレビ中継を各局に打診。欧州の試合では毎回ネックとなるキックオフは「日本時間の夜8時もしくは9時に決めたい」(日本協会関係者)と現地の正午過ぎに設定しているが、もしもテレビがつかなければ、放映権料が入らず、欧州遠征は赤字となってしまう。
加えて新型コロナウイルス対策も重くのしかかる。綱渡り遠征の可否は、果たして…。 (編集委員・久保武司)