「JAL123」騒動が映す月日の流れと揺らぐ働く意義(日経ビジネス)

出典元:日経ビジネス

不思議なものでかれこれ20年近く、現場の声に耳を傾けたり、社会問題に関するコラムを書き続けたりしていると、時代の空気の変化を敏感に感じとることができる。

【関連画像】JAL123便の事故から35年もの歳月が過ぎ、事故後にJALに入社した社員は全社員の96.5%を占める。事故後に生まれた社員も35%に達し、JALでは事故の教訓や空の安全の重要性を、社員にどう伝えていくかが課題となっているという。文/河合薫氏

 そんな私が思うのは、今、私たちは「働き方」「働かせ方」の大きな転換期にいるということ(これは誰もが感じていることでしょう)。そして、この変化は、今、私たちが考えている以上に大きなプラスと、想像もしていなかった果てしないマイナスをもたらすってこと。いかなる変化もプラス面は分かりやすく、マイナス面は分かりづらい。その正体は、具体的な出来事が起きて初めて分かるものだ。

●「取り返しがつかない事態」を予見する難しさ

 少々、例えが悪いかもしれないけれど、戦後70年のときに行った戦争経験者たちのインタビューで、「気がついたら戦争になっていた」と多くの人たちが語っていたことを、最近思い出すことが多い。あるいは、産業革命の最中、工場から立ち上る黒い煙を見た科学者のスヴァンテ・アレニウスは、「この煙が私たちの生活に及ぼす悪影響に多くの人が気づいたときは、手遅れになる」と地球温暖化を憂いたことを思い浮かべる。

 つまり、それらと同じような“変化”がこの先に待ち受けているのではないか。妙な楽観主義はやめ、今から一つでも多く、予想されるリスクへの事前の対処を考える必要があるのではないか。などと、考えてしまうのだ。

 「おい! 何、大げさなこと言ってんだ!」と、叱られてしまうかもしれないけど、理屈じゃない。ただただそう感じるのだ。よほど私の“勘ピューター”が劣化していない限り、取り返しのつかない事態が近い未来に起きる気がして仕方がないのである。

 と、しょっぱなから、えらくグダグダした書きっぷりになってしまったが、実はそのマイナス面の輪郭の一部が少しだけ見えたので、今回、あれこれ考えてみようと思った次第である。

 テーマは……、「仕事への向き合い方」「危機対応」「会社であることの意義」……、ふむ、なんだろう。

 とにもかくにも、先週8月12日のテレビや新聞の報道を見ていて、おぼろげに見えた輪郭と、深まった憂いを、「書いておかなきゃ!」という衝動にえらく駆られている。皆さまも、ぜひ、一緒に考えてくださいませ。

 ご存じの方も多いかもしれないけど、8月6日、民間航空機の現在位置をリアルタイム表示するサービス、「Flightrader24」に表示されたある画像がTwitterに投稿された。

 「NRT tokyo →N/A」と書かれた画像に映っていたのは、尾翼にツルのマークが描かれたボーイング777の機体で、物議をかもしたのがその「便名」だった。

 「JL123」(JAL0123)。そう。昭和世代なら絶対に忘れることができない御巣鷹の尾根に墜落し、520人の命が奪われた航空業界最悪の事故。その事故機の「JAL123」)の便名が付けられた飛行機が、リアルタイムで飛んでいたのだ。

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