特別支援学校、教室足りない 需要高まる(産経新聞)

出典元:産経新聞

障害のある子供たちが通う特別支援学校の需要が高まり、在籍数が増え続けている。それに伴って教室不足が深刻化しており、文部科学省は今年度から令和6年度までを「集中取組期間」として、新たに学校を設置する際の補助を引き上げた。校舎の広さなど最低限必要な教育環境を定める「設置基準」も策定されることになったが、課題が多く各自治体は苦悩を続けている。(藤井沙織)

【グラフ】特別支援学校数と在籍者数の推移

■理科室を転用

 大阪府立豊中支援学校(豊中市)では十数年前から在籍数が増え続け、教室が不足するたびに、理科室や美術室などを教室に転用してきた。かつて理科室だったある教室には、場違いなガス栓の跡が並ぶ。

 平井晋也校長は「校舎の規模から本来の想定は250人くらい」というが、現在の在籍者数は小学部から高等部まで計約400人。教室が足りず、2学級が1つの教室を使うケースもある。

 特別支援学校の在籍数は全国的に増え続けており、文科省によると昨年度は約14万4千人で、平成21年度から約2万7千人増加。各自治体が足りないと考える教室数は、昨年5月の調査で計3162教室に達した。平井校長は「教員数の基準は満たしていても、1学級の人数が増えると目配りすべき子供の数が増え、きめ細やかなフォローが難しくなる」と打ち明ける。

■土地足りず

 こうした過密状態を招いた遠因の一つは、特別支援学校には設置基準がないためだと指摘する声もある。一般の小中学校の設置基準では、図書室や運動場などの最低限必要な施設のほか、児童生徒数に応じて必要な校舎の広さを規定。しかし特別支援学校については、知的障害や肢体不自由など「障害により必要な環境が異なり、統一の基準を示すのは困難」(文科省担当者)として、自治体の判断に委ねられてきた。

 過密化した現状を何とか改善しようと、文科省の有識者会議は今年7月、特別支援学校の設置基準の策定を国に求めた。文科省は検討を始めたが、すぐに基準通りになるとは限らない。学校に転用できる敷地が限られているためだ。

 このため、自治体の多くは学校の統廃合で使わなくなった校舎を活用してきた。例えば大阪府教育委員会が平成25~27年度に設置した4校と令和5年度に開校予定の1校は、府立高校の校舎などを活用。宮城県教委も県内の小学校の校舎や空き教室の提供を受けてきた。だが大阪府では8年までに在籍数がさらに千人近く増える見込みで、追いついていないのが現状だ。

■改修に30億円

 また、財政的な問題もある。一般の学校を転用する場合、特別支援学校として使用するためには大規模な改修を要する。トイレを教室内や教室に隣接して設置するなどの整備が求められるためで、大阪府教委が実施した改修では1校に約20~30億円かかった。

 こうした実情を考慮し、文科省は、今年度から5年間、改修費の補助を従来の3分の1から2分の1に引き上げた。担当者は「設置基準との相乗効果で、学校新設への機運が高まれば」と話すが、自治体からは「実情に合わない」との声も上がる。

 宮城県教委の担当者は「改修では間に合わず新築しなければならないが、新築には補助の拡大がない」と指摘。府教委の担当者は「改修を決めてから開校までに最低5年はかかる。補助の引き上げ期間を延長してほしい」と訴えている。

■手厚い指導求め

 特別支援学校が対象とする障害には、視覚障害▽聴覚障害▽知的障害▽肢体不自由▽病弱-の5つがある。近年、特に在籍者が増えているのは知的障害の支援学校で、関係者は「以前なら地域の学校に通うような軽度の障害の子供が増えた」と話す。

 特別支援学校に就学するかどうかは、学校教育法施行令の定める基準をもとに市町村教委が決めるが、保護者の意向も尊重される。入学すれば、一般の学校に準じた教科学習のほか、例えば肢体不自由なら歩行器などの補助具を使った運動学習、知的障害の子供には買い物などの体験学習といった、一人一人の課題に応じた支援や自立に向けた指導が行われる。

 特別支援学校が自宅の近くにあるとは限らず、遠方までスクールバスで通うことも。このため住んでいる地域との関係が希薄になるというデメリットもある。それでも軽度の障害で支援学校を選ぶ理由として、ある教委の職員は「手厚い指導が受けられるだけでなく、『軽度だからこそ障害と分かりにくく、友達ができにくかったり、いじめられたりするのでは』と懸念する保護者もいる」と話している。

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